納車から10年を過ぎたN-ONEでフロントのブレーキキャリパーをオーバーホールしてみました。
車両の走行距離は約85,000kmでブレーキキャリパーについては、これまで一度も整備を行っていません。
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事前に用意したキャリパーシールキット
ブレーキのキャリパーをオーバーホールするにあたって事前に準備しておいたのがキャリパーシールキットです。
今回用意したのはミヤコの製品で、ピストンシール、ダストブーツ(ダストカバー)、ピンブーツ、バンジョーボルト用ワッシャー、ブリーダーキャップ、ラバーグリスなどオーバーホールに必要な消耗品がセットになったものを使います。
これらのセット品のほかにパーツクリーナー、シリコングリスやブレーキのエア抜きに使うブレーキフルードなども併せて準備しておきたいものになります。
作業に使う工具類は、12mm、14mmサイズのレンチと、エア抜き用ツール、トルクレンチなどです。
また、作業の工程でピストンをキャリパーに戻す際にエアーツールがあると便利ですが、今回はDIY作業ですので12V電源で動作するエアポンプを使っています。
ブレーキキャリパーの取り外し
資材や工具が揃ったら前輪をジャッキアップしリジッドラックで車体を安定させホイールを外します。ここでは右側のフロントブレーキを対象として作業を行っています。
最初にバンジョーボルトを緩めてキャリパーからブレーキホースを取り外します。
外したホースの先端にあるバンジョーアダプタには自作したフルード止め用のストッパーを取り付けてブレーキフルードの流出を防いでいます。
続いて、キャリパーピンのボルト2か所を12mmのレンチを使って外します。ピンが供回りしてしまう場合は17mmのスパナで押さえて回すとボルトを外すことができますが、上側のボルトは無理に外さなくてもキャリパーの脱着はできる構造になっています。
取り外したブレーキキャリパーは中にフルードが残っているので、洗浄が終わるまでトレイ状の容器などに入れたほうが持ち運びや扱いが楽です。
キャリパーが取り外せたらブラケットに残ったスライドピンやピンブーツなども外します。
パーツの洗浄と組み立て
オーバーホールの大まかな手順は、ブレーキキャリパーから古いゴムパーツを取り外してパーツクリーナーで洗浄したあと新しいシールキットを使って元通りに組み立てるといった流れになります。
キャリパー本体とピストンの洗浄
車体からブレーキキャリパーを外したらシリンダーに入っているピストンをエアツールなどを使って押し出します。
今回は、タイヤの空気圧管理用のエアポンプをホースの接続口に当てて押し出していますが、こうした代用品を使った場合でもピストンは勢いよく飛び出るので指を挟んだりピストンなどを傷つけたりしないよう注意しておきたいところです。
ピストンを取り外したら古いピストンシールとダストカバーを除去してキャリパーとピストン、スライドピンをそれぞれパーツクリーナーやブラシなどを使って洗浄します。
キャリパーのシール類が入る溝の部分は、ここではコンパウンドを塗り込んでからブラシ(プラスチック製)で磨いたあとパーツクリーナーで汚れを流し落としています。
ピストンは錆の進行がほとんど見られなかったので磨いて汚れを落とす程度に済ませています。
シリンダーのダストカバーが入る部分は、まだ錆が目立ちますがこの錆を落とそうとしてワイヤーブラシなんかを使ってしまうとピストンシールの溝を傷つけてしまいそうなので今回はこのまま使います。
スライドピンも同様に古いグリスを除去するだけにしました。
ゴムパーツとピストンの組み付け
構成部品の洗浄が済んだらキャリパーを元通りに組み立てていきます。ここでピストンシールとダストカバー(ダストブーツ)は新しい物へ交換します。
新しいピストンシールにシリコングリスを塗布しシリンダーの奥側の溝にはめ込みます。
このとき、シリンダーの奥の部分にはブレーキフルードを薄く塗っておきました。
つづいてダストカバーには付属のラバーグリスを塗ります。
画像を見ると塗りすぎな感じがしますが溝に固定する際に指で広げてなぞったりするので多めに塗布しています。
ピストンの組み付けは、取り出す際に使用したエアポンプを使ってブーツを膨らませる要領で行っています。
ピストンを傾きなく均等に入れ込むことができれば、そのまま指で押し込んでいくことでピストンの溝にダストカバーをはめることができます。
あとは目一杯奥まで押し込んでおきましょう。
キャリパーを車体に戻しブレーキホースを接続
ピストンを元通り入れることができたら、スライドピンもグリスアップしておきます。
ここではシリコングリスを塗っています。なお、ブレーキの上側に入るガイドピンのほうは縦に溝が入っていて、この2本は同じ形ではありません。
ブラケットのピンブーツも新しい物を入れておきます。
ここまで準備ができたらキャリパーを車体にもどしボルトを締めます(23N・m)。画像では供回り防止のためスライドピンをレンチで固定しています。
なお、ここの2カ所のボルトはトルクレンチを使った締め付けもブレーキホースを戻す前のこの段階で済ませておきます。
※バンジョーアダプタが付くとソケットが入りません。
バンジョーボルトに使うワッシャーはシールキットに付属の新しい物へ交換。
最後にホースのアダプタを元通りに取付けてボルトを規定トルク(35N・m)で締め付けます。
あとは、ブレーキのエア抜き作業を行いブレーキタッチが回復できているかチェックを行いタイヤを元に戻します。
公道に出る前には、ブレーキの効き具合に問題ないかなど入念にチェックすることを怠らないようにします。
オーバーホール後はブレーキタッチに特に違いを感じたりすることはありませんが、何か症状が出る前に対処できた成果かと自分では納得しています。
今回の作業は左右両輪で5時間ほどの時間がかかっていますが、ブレーキのオーバーホールは片方ずつ時間を確保してじっくり実施できれば理想かなと考えています。
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