中古品マイクロメータの状態を見た目でチェック

使い込まれたマイクロメータ

長いこと現場で使い込まれたように見える中古のマイクロメータを入手しました。

マイクロメータは精密な測定器具ですので、手元で精度の良否を判断するのは難しいですが、外見から判断できる範囲で不良がないかを簡易的にチェックしてみることにします。

最初に確認しておきたい保管状態

中古品のマイクロメータの状態を確認するにあたって、最初にチェックしたいのは保管状態。

中古で手に入れた外側マイクロメータ

機械的な知識がある方なら分かると思いますが、測定面の両端が閉じられた状態で保管されていたマイクロメータは保管中の温度変化によりダメージを受けている可能性があります。

これは中古品に限りませんが、閉じられた状態で保管されたマイクロメータは信頼度が下がっていると判断して良いでしょう。

見た目から機能性をチェック

続いて、機能面のチェックに移りますが、今回対象にした外側マイクロメータでは明らかに調整が必用な部分が2箇所ほどありました。

調整前の状態

一つ目は、本体にある回転をロックさせるクランプに緩みがあるので、レバーを左に目一杯回しきった状態でないとロックが効きません。

もう一つは測定目盛りが書き込まれた基準線が手前側にズレすぎているのが画像から見ても分かります。

定圧装置の隙間

それから、定圧装置(ラチェットストップ)のツマミが浮いているのが気になりますが、この部分は機能的にそれほど問題ないかと判断します。

クランプ(ロック機構)の緩み

左に寄り過ぎたクランプ

クランプの緩みについては、ネジを外してレバーの角度を変更して着け直すことで簡単に調整が可能。

このクランプ(ロック機構)そのものが緩んでいると、0点の修正が効かなくなるので最初になおしておきたい部分です。

手前に寄り過ぎた基準線

基準線がズレたマイクロメータ

基準線と0点の調整については、メーカーサイトで取り扱い説明書が見れるので、そちらを参考に修正しました。

調整作業には付属品のキースパナが必用ですが、中古だと付属しない場合もあるので別途用意しなければなりません。

調整後のマイクロメータ

クランプと基準線(ゼロ位置)を調整

ここまでの修正で、見た目で確認できる範囲の不具合は解消されました。基準線の位置はクランプのネジの中央に合わせるくらいがちょうど良さそうですが少しだけ手前側に寄せています。

フレームにあった文字の彫り込みを除去

各部の調整が済んだところですが、今回用意したマイクロメータはフレームにリューターか何かで書き込んだものと思われるサインが入っていました。

工場なんかで個人に割り当てられ使われていたものかと思われます。

フェルトバフでフレームを磨く

この書き込まれた文字については、ドリルの先に粗目の砥石を付けて削ったあとにフェルトバフで軽く磨いて処理しています。

中古品マイクロメータの使い道

気になる部分の調整が済んだマイクロメータは、動きもスムーズで測定精度以外には支障が無い範囲に調整が済んだところです。

それでも、見て分かるとおり年代物でメーカーへメンテナンスに出すほどの価値があるか微妙なところです。

古いデザインのマイクロメータ

この実用性が乏しく一見何の役にも立ちそうにないマイクロメータの使い道ですが、ほぼ観賞用というか趣味の範囲の用途に限られます。

もともと、マイクロメータという測定器そのものに興味があったものの、職業的に必要性がないため購入には至らなかったということで自分の工具としては揃えていない物でした。

画像のマイクロメータは10数年あるいはそれ以上昔のものですが、当時からカッコよく見えた、このフレーム削りだし調のモデルは現在新品で購入が難しい代わりに年期の入った中古品は購入しやすい状況。

目的が、ただ手で触れて眺めて楽しむだけのものですが、この味のある工具が小さな機械を好む自分にはたまらない嗜好品に似た存在ということになります。

必要に迫られるだけでなく、ときには味のある工具に触れながら余裕ある時間を過ごすなんてのも良いかもしれません。

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