エアコンの真空引きに使うチャージバルブの仕組み

冷媒管用のチャージバルブ

エアコンを設置する時に真空引き作業などに使われるのがチャージバルブ(コントロールバルブ)という冷媒配管用の小さな道具。

このページでは、家庭用ルームエアコンを取り付ける際に行う真空引き作業に的を絞り、このチャージバルの大まかな仕組みと必要とされる具体的な理由などを説明しています。

真空引きに使う場合の仕組み

チャージバルブ(コントロールバルブ)の用途は、エアコン室外機にあるサービスポートとチャージホースの間に介在させる形で使用されるものです。

チャージバルブはその名称の通り、冷媒の補充のほか機器の点検など様々な用途で使用されますが、ここでは真空引き作業に使う場面を主に想定して解説することにします。

チャージバルブの目的は冷媒回路の機密性を維持したままでチャージホースの着脱を容易にさせることです。

OFFからONにしたとき

ON方向に回すことで冷媒回路とチャージホースがつながる

画像の上側の接続口が室外機用、右側がチャージホース用で下のつまみをねじ込むことによって室内機とチャージホース(ゲージマニホールド)が通じる仕組みです。

チャージバルブがOFFの状態

OFFの状態

取り扱いの際に注意したいのは、サービスポート(機器)への接続時に丸いツマミはOFF側に回しきった状態であることです。

たとえば、ここをONにしたまま冷媒ガスが充填された室外機に接続するとガス漏れを生じさせる原因にもなります。

チャージバルブがONの状態

ONにすると軸が突き出る仕組み

このツマミ(バルブの操作部)はON方向へ回すと室外機側の接続口へ突起が押し出されサービスポートのピンを押し込み閉ざされていた冷媒回路がサービスポートに向けて開放される仕組みです。

チャージバルブが必要な理由

真空引きの際にチャージバルブが必要とされる理由は、真空引き後に空気の侵入やガスの放出をさせずに室外機からチャージホースを外すためです。

エアコンの設置で室内機と室外機を冷媒管で接続したばかりの状態は、内部に冷媒ガスは通っていなくて真空状態でもないためチャージホースを直接サービスポートに接続できますが問題は真空引きをしたあとにあります。

使用しないで真空引きした場合

チャージホースをそのまま室外機のサービスポートに接続した場合、真空引きによる機密テスト(ポンプを止めてから漏れがないかチェックをする)を行ったあとにチャージホースをそのまま外してしまうと真空状態になった冷媒回路に空気が入り込んで真空度が損なわれます。

これを防ぐには、チャージホースを繋いだままの状態でストップバルブを解放し冷媒ガスを施工した配管内に送り込む必要があります。

冷媒ガスが配管内に通れば圧力がかかるのでチャージホースを取り外す際に空気の侵入はしませんが、今度は微量の冷媒漏れが避けられません。

室外機と配管からの漏れは少量に押さえられても、ホースとゲージ内に残った冷媒ガスは大気に放出されることになるでしょう。

分かりやすい例えは車のタイヤにあるエアバルブ

真空引きを終えてエアコンの配管に冷媒ガスが充填されたサービスポートは、空気圧の調整が済んだタイヤのエアバルブに似ています。

空気圧の調整が済んだ車のタイヤから、コンプレッサーやポンプからのホースを抜くときに「プシュッ」と少量の空気が漏れることがあります。

これはタイヤのエアバルブに内蔵されているバルブコアのピンが元の状態に戻りきる前に内部の圧力によって空気が少量押し出されることにより起こりますが、サービスポートに接続されたチャージホースを外す際も同じ仕組みよって室外機(配管)から少量の冷媒ガスが排出されることになります。

車のタイヤに入れたものは空気なので、そのまま大気中に放出されても問題はありません。

しかし、エアコンの冷媒管に入っている冷媒ガスは外に漏れだすと環境上よくないことはもちろん、漏れだす量によってはエアコンの性能にも影響しかねません。

不慣れな作業や、ねじ山のかみ合わせ不良などがあれば予想以上にガスが放出される心配もあります。

こうしたチャージホースの着脱時のガス漏れを防ぐために用いるのがチャージバルブ(コントロールバルブ)だということになります。

エアコンの設置にあたってはガス種(現在、家庭用のルームエアコンではR32が主流)に見合った適切なチャージバルブを用意しておくべきでしょう。

※現在ルームエアコンに使われているR32冷媒用にはオス側メス側ともに5/16サイズを使うのが理想的(使うチャージホースによってはアダプタが必要)です。

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