レーザー彫刻機用アプリケーションLaserGRBLはフリーで使えてWindows対応

レーザー彫刻機用アプリケーション

LaserGRBLはレーザー彫刻機をPCから動作させるために使うWindows対応のアプリケーションソフトウェアです。

公式サイトから無料でダウンロードが可能で、直感的な操作で画像データなどを読み込めて対応機種に出力することができます。

ここではWindowsPCでLaserGRBLを導入する方法から、実際に画像を取り込んでレーザー彫刻機「OUTURのAufero Laser1」に出力するまでの手順を簡単に説明しています。

LaserGRBLの導入

LaserGRBLは公式サイトから無料で入手が可能です。

LaserGRBL公式

ダウンロードページにはGitHubへのテキストリンクも張られていますが、大きく表示されているダウンロード用バナーをクリックすれば直接PCへダウンロードすることもできます。

公式サイトからダウンロード

ダウンロードできるのは実行形式のファイル(install.exe)なので、そのままアイコンをダブルクリックすることでインストールプログラムが開始されます。

laserGRBLの起動

インストール後にスタートメニューからLaserGRBLを起動すると、この動画作成時点のバージョン(v7.14.1)では言語が最初から日本語表示に、色もダークモードで起動する仕様になっています。

LaserGRBLの起動画面

LaserGRBLを起動後に表示される画面

基本的な使い方は画面の右下に表示されています。マウスの左ボタンを押したまま動かすことで表示位置を調整したり、マウスのホイールを使って拡大や縮小の操作が可能です。

画像データの読み込み

マシンに出力したい画像データをLaserGRBLに読み込む方法は、一般的なWindowsアプリケーションでファイルを読み込む方法と同じです。

上部のメニューバーにあるファイルからファイルを開くに進み、画像データが保存されているフォルダに移動して目的の画像ファイルを指定します。

読み込むことができるデータの種類はBMP、JPG(JPEG)、PNG,などの一般的な画像データになります。

画像ファイルを指定すると、すぐに各パラメータを設定するためのダイヤログボックス「ラスター画像をインポート」が表示されます。

一つ目の設定ダイヤログボックス「ラスター画像をインポート」

ラスター画像をインポート

この一つ目に表示されるダイヤログボックスで、覚えておきたい基本的な設定メニューはディザリングオプションの中にある品質の設定です。

この品質設定はmmあたり何本の線を彫刻するかを指定するもので、メーカーサイトやWeb上の情報などを参考に設定が可能な項目の一つで初期値は3(3.000)線/mmになっています。

最初の設定が済んだら、次へを押すことで2番目のダイヤログボックスが表示されます。

二つ目の設定ダイヤログボックス「ターゲット画像」

ターゲット画像

この「ターゲット画像」のメニューで押さえておきたいポイントは3つあります。

一つ目は速度「Engraving Speed」mm/minで初期値は1000です。ここはレーザーモジュールが動く速度を1分あたり何mmにするかという設定です。

二つ目がレーザーオプションのうちの「レーザーモード」で初期値はM3です。

三つ目は同じレーザーオプションの「最大」のところで、ここはレーザーの強度を設定する部分と理解しておいて良さそうです。初期値は1000(100%)になっています。

ここまで取り上げた4つのパラメータが、機器を動作させるのに押さえておきたい基本的なポイントです。

その他には、2つ目のダイヤログボックスの下にある「サイズ」の設定が、ぜひ理解しておきたい部分です。

ここはポイントというよりはレーザー彫刻の出力範囲をバランスよく対象物に合わせるためにチェックしておきたい項目で、X軸Y軸方向ともにmm単位で指定が可能になっています。

読み込んだ画像データ

読み込んだPNG形式の画像データ

また、オフセットを適正に調整することで小さな材料でもマシンの動作エリアの中央付近を使って作業することが出来るようになります。(画像ではY軸方向に3mmのオフセットを指定していますが、実際の加工時には数センチに広げています)

これら必要なパラメータの編集後に「作成ボタン」を押すことで画面に読み込んだファイルの彫刻イメージが表示されます。

レーザー彫刻機の接続と出力

表示されたCOMポート番号

PCとレーザー彫刻機をUSBケーブルで繋ぐと左メニューにCOMポート番号が表示されます。ここではCOM3になっていますが、表示される番号はPCによってそれぞれ違いがあります。

laserGRBLでのコネクト操作

接続ボタンのアイコン

マシンとの接続(前回テスト時の画像)

LaserGRBLアプリケーションと彫刻機の接続は左メニューにある緑色のアイコンをクリックします。USB接続用ドライバのインストールについては各製品に付属の取扱説明書などを参考にして行います。

ここで使用しているAufero Laser1はCH340チップ用のドライバをWindows11PCへインストールして動作させています(Win10など例外的に自動的にドライバがインストールされる場合もある)。

CH340用ドライバはLaserGRBLの「ツール」メニューからもインストール可能なようです。

接続後は赤と青が点灯

Aufero Laser1ではPCとの接続が正常に行われると本体の青LEDが点灯します(接続前は赤色だけが点灯している状態)。

赤のプラグアイコン

ソフトウェア側では緑だったプラグアイコンの色が赤に変わります。

彫刻する素材(対象物)の配置

モジュールの進行方向

彫刻作業はイメージの下から上へ進行する

このあと、出力操作をしたときのマシンの動作はAuferoLaser1を例にした場合、マシンやLaserGRBLの設定がデフォルトのままであれば、レーザーの照射開始は画面の左下付近にあるレーザーモジュールの起点位置(オフセットを設定していればそれより上や右に寄せることができる)から開始され下から上方向に移動しながら進み彫刻を完成させます。

アプリケーション上のX軸、Y軸

また、laserGRBL上に表示されるX軸、Y軸それぞれの位置関係や動作方向は次の画像に入れた矢印の通りに再現されるので、実際に使うマシンでも動きが合っているかチェックしておきましょう。

中心位置に合わせて対象物を配置

モジュールを中心位置に移動させ対象物を配置した例
ここではオフセットを大きめ(Y軸方向に数センチ単位)に設定

マシンへの対象物の配置は加工前に起点や中央位置にレーザーを当てて確認できますが、素材や表面の色によっては焦げてしまったり調整時からゴーグルで目を守る必要があるなど注意が必要です。また、手や指先などにもレーザーが当たることがないようにしましょう。

この彫刻画像の中心を確認したり動作範囲の外周にレーザーを照射できる機能は、事前に面積が大きめのテスト素材を用いて弱い出力で確認しておくと安心かもしれません。

画面下にあるボタンメニューの種類

レーザーモジュールのポジションを指定

スタート前にモジュールを操作できるボタンメニュー

画像イメージが表示されている画面下にあるボタンメニューを押すことで上で説明した準備段階でレーザーモジュールのポジション操作が可能です。

①~⑥まで各ボタンの機能は次の通りです。

各メニューボタンの種類
  1. レーザーモジュールを0位置(起点)に戻す
  2. レーザーモジュールを中心位置へ移動
  3. レーザーモジュールを彫刻開始位置へ移動
  4. 彫刻範囲の確認
  5. 連続したレーザーの出力
  6. 一時的なレーザーの出力

③のボタンを押したときの移動位置は、オフセットを設定していた場合では①のときの動作で戻る0位置とは違いオフセットされた彫刻開始位置になります。

④~⑥の操作では、実際にレーザーが照射されるので保護メガネが必須です。機器の取り扱いについては製品付属またはメーカーサイトの取扱説明書や注意書きに従ってください

またテストのためにレーザーを当てただけでも、実際に対象物や作業台保護のために敷いたプレートを彫り込んだり切断させたりする可能性があるので注意が必要です。

スタートをクリックしてマシンで彫刻を開始

スタートボタンのアイコン

スタートボタン(前回テスト時の画像)

アプリケーションの機能が確認出来たら実際にマシンを使用した彫刻作業に移ります。彫刻対象物をセットしてゲージを使った焦点の調整を済ませた後、LaserGRBLの左メニューにある「プログラム実行アイコン」(接続の2つ下)を押して彫刻をスタートします。

動作開始時にはPCのスピーカーから効果音が発せられます。

彫刻動作中に表示される画面表示

彫刻中は進み具合が確認できる

レーザーによる加工中は、彫刻の進み具合が緑色で表示され確認できます。加工時間は材料の種類や面積、設定した品質などで異なり、ものによっては数10分、金属などで高品質な設定を使うと1~2時間以上(5W出力機の場合)かかる場合があります。

彫刻中の画像

動作中のAuferoLaser1

モジュールがレーザー光を出しながら素材を彫り進め、指定した画像データの通り彫刻が終了するとレーザーモジュールは自動で起点にもどります。

ここまでが、LaserGRBLを使った基本的な作業の流れになります。

今回、動作テストに用いたのは缶詰の空き缶です。前回使った蓋の方はアルミでしたが今回使った容器のほうは磁石につくので鉄かと思われます。

参考までに、速度を100にしたときと150にしたときの2パターンでテストしてみました。

2つのスピードでテスト

上側の速度を100に設定してテストしたほうが色が濃く元データを忠実に再現できているように見えるのに対し、下の速度が150で彫刻したほうは輪郭が目立たない感じです。

このテストでスチール缶を対象に設定した主要パラメータの値は次の通りでした(スチールでもメッキなどの表面処理や成分の違いで差がある模様)。

品質10線/mm
速度100(150)
レーザーモードM3
出力(最大)1000(100%)

ここまでの解説でPCのソフトウェアにLaserGRBLを使ってレーザー彫刻機を動作させる方法はそれほど難しいものではないことが、お分かりいただけたのではと思います。

レーザー彫刻機専用のアプリケーションは、このLaserGRBLの他に有料のLightBurnがありますが今回試したLaserGRBLに不足や不満を感じない限り、今のところ乗り換える必要はないかなと考えています。

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