電気回路の電圧や抵抗、導通などをチェックするテスター(回路計)はデジタルが使いやすく当たり前で、そのことを否定する要素は少ないように感じます。
私の手持ち測定器類の中でもアナログテスターはたびたび断捨離の候補に挙がります。このアナログテスターを持ち続けることにはたしてメリットはあるのでしょうか。
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デジタルと比較して優れている面
大手の測定機器メーカーなどが言うところのアナログテスターのメリットを簡単にまとめると次の通りになります。
数値の変化を読みとりやすい。反応が早いなど。
個人的には電池が減らないのに驚いている。
この電池に関しては、アナログテスターなら消耗して電池切れを起こしている状況でも電圧(電流)の測定が可能です。
実際にデジタルテスターのボタン電池が消耗して使えなくなっていた場合でも、長こと放置していたアナログテスターを持ち出してくれば回路の電圧チェックができたという経験があります。
この電池がなくても電圧チェックが可能だというのがアナログテスターの隠れたメリットかもしれません。
アナログテスターはサイズが大きいのが難点
デジタルのテスターを使い続けていると、そのコンパクトな筐体と機能性の高さからアナログテスターよりも使い勝手が良いと感じます。
アナログ表示が数値の変化を読み取りやすいと言われる点でも、電気技術者は測定値の分析などで経験上から数値の扱いが得意な人が多数であると考えれば液晶画面で数字が乱れ動いたところで読みづらいと感じたり、その変動範囲の大小の判別に時間を要する場面は少ないのではと自分の体験も含め判断します。
普段使いのデジタルテスターが故障してしまってアナログテスターを使うことになっても、強電の分野に限って言えば電圧測定や導通チェックに不便を感じることはそれほどないと思いますが、持ち歩きや測定の現場でもデジタルより本体が大きめなのは気になるかもしれません。
デジタルテスターならポケットに入る大きさで持ち運びも気にならないのと両手を使いたい時テスター棒と本体の両方を持つこともできます。
ただ、この点では緊急時の点検などでテスター機能が使える多機能なデジタルクランプ計が本体も手になじむ形状で握りやすく使い勝手という面では最も優秀かと思います。
また、デジタルテスターを一つ持ってしまうと保管場所を広くとってしまうアナログテスターは優先順位的に取り出しづらい別室だとか奥の場所へしまわれることになりがちです。
結果として、使用される機会が徐々に少なくなり、必要に迫られた特異な場面でだけ持ち出されることになるのがアナログテスターというもののようです。
電気技術者への歩みが形として残った機器
電池切れを起こしていても回路計として使えるというアナログテスターのメリットは、実際にも役立つ場面はあると思います。
とりあえず電圧をチェックしたい時などは、電池を買いに行くより仕舞い込んでいたアナログテスターを取り出してくる方が早いので助かります。
とは言っても、そんなことはすぐ忘れて片付けのたびに断捨離の候補にあがってくるものだったりするのがアナログテスター。
それでも、つい手元に残しておきたいと思ってしまうのは、この古いテスターを買った時の動機というのが当時電気の専門技術を身につけるにはテスターくらい持っておきたいと考えたことでした。
当時も、他の電機関連の測定器であった絶縁抵抗計やクランプ計などと比べればテスターは求めやすい価格だったと記憶していますが、何かに使う必要に迫られたわけでもなかったので高い買い物ではありました。
そんな思いの積み重ねの結果、その後に電顕三種の資格取得にも繋がったことを考えると電気関連の知識を身につけたいという当時の自分の歩みや目指したものが形になったのが手元にあるアナログテスターということになります。
そんなことを考えると、自分にとってアナログテスターは持っていれば気持ちだけでもベテラン電気技術者になれたようなお守りのような存在であるのかもしれません。