気温が氷点下の冬でも走行すればタイヤ表面温度は上がるのか【NAエンジン軽自動車FFの場合】

走行前のタイヤ温度は-4.8℃

気温が氷点下まで下がる寒い日の朝でも車を走らせればタイヤの表面温度は上昇するのか調べてみました。

タイヤの温度を測定したのは軽自動車のN-ONEで駆動輪にあたる前輪に赤外線式の非接触温度計をあてる方法で走行距離ごとに測ることにしました。

氷点下まで冷え込んだ朝にタイヤの温度を調べる

今回、タイヤの温度を測定するのに使用したのは赤外線式の温度計です。

赤外線式の温度計

工業用のもので、人の体温を測定するための非接触式体温計より測定温度が広範囲でマイナス温度まで計れます。

走行前の測定値

走行前のタイヤ温度は-4.8℃

時刻は6:30エンジンを始動する前に走行前のタイヤの温度を計ってみると-4.8℃。

すでに立春は過ぎていますが2月の中旬ですので朝は真冬並みに冷える日があります。

フロントガラスに付いた霜

車のフロントガラスは薄っすらと霜に覆われている状態でした。

クルマの外気温計は-4℃

エンジンを始動してみると外気温は-4℃と表示されています。測定したタイヤの表面温度とほぼ同じです。

タイヤを冷え切ったままの状態で走らせるため、ガラスの霜をスクレーパーで落としたあとは暖機は省略してゆっくり低速で走り出すことにしました。

走行による変化

最初に約1kmほど走行したところで前輪のタイヤ2本の表面温度を測定することにします。

約1.2km走行時-6℃

自宅から市街地とは逆方向の山沿いの方へ車を走らせると外気温は-6℃と出発時より2度ほど低くなっているのが分かります。

右前輪1.2℃

右の前輪は1.2℃

左前輪-0.1℃

左はまだ0℃以下

この時点でのタイヤの温度は右側で1.2℃、左側が-0.1℃です。

約5km走行時の外気温-6℃

自宅から5km走行

右前輪3.1℃

右3.1℃

左前輪2.1℃

左2.1℃

5km走行したところでは、右が3.1℃左は2.1℃と両方とも走行による温度上昇がみられました。

おそらく走行による摩擦熱によって表面温度が上昇したものと思われますが、このとき日差しがあたる路面(アスファルト)の温度を計ってみると約1~2℃とタイヤとあまり変わらない温度でした。

測定できた走行距離によるタイヤの温度変化は次の通りです。

走行距離 前輪左 前輪右
出発前 -4.8 -4.8
1km -0.1 1.2
2km 0.0 0.5
3km -0.3 1.6
4km 3.7 1.8
5km 2.1 3.1
10km 3.3 4.0

(単位:℃)

4km経過時に左側でイレギュラーな値が測定されていますが、路面状況や直前の右左折など運転操作が影響しているのではと思われます。

それ以外は右のタイヤ表面温度が高めですが、これも走行条件や走ったコースによるものと思われます。

単純に左折が多ければ右に荷重がかかるのとタイヤの回転も増えますし、タイヤの空気圧や摩耗状況などもタイヤごとの温度差に大きく影響しそうです。

外気温に変化がなくても温まるタイヤ

今回の温度測定では、5kmの距離までは1kmごとに止まりながら測定しましたが走行による温度の上昇は明らかに確認できています。

約10km走行時も-6℃のまま

10km走行後も外気温は-6℃

右前輪4.0℃

右前輪10km走行後

左前輪3.3℃

左前輪10km走行後

最終的に両輪とも3℃以上の温度に達していますが、この10km走行時点でも外気温は-6℃を示したままでした。

寒い冬でも走ればタイヤの表面温度は上がる

以上のように外気温が氷点下の日でも、タイヤは走行により温まることが確認できました。

ただし、今回測定できたのは気温はマイナスであったものの天候にはかなり恵まれた環境のもとで測定したタイヤの温度です。路面に積雪があったり凍結した道路を走行するような環境下ではタイヤの温度はもっと低くなるでしょう。

この日は夜明けから雲が少なく放射冷却により冷え込んだ朝を迎えていました。

そのせいもあって、日差しにより路面が温まるのも早かったことでしょう。そうした条件もタイヤの温度に影響したのではと考えられます。

そのため、夜明け前や曇りの日などはタイヤの温度はもっと低めで温まるのに時間がかかることも考えられます。

おすすめ記事

助手席の背もたれに温度データロガー 冬の朝リモコンエンジンスターターを使用することで車内の温度はどう変化するのか 駐車時の車内温度を計測 大寒の日、駐車したままの軽自動車で車内温度を測定してグラフ化してみた