ホンダZという360ccの軽自動車

国産名車コレクションのホンダZ

昔軽自動車の排気量が360ccだった頃にホンダの軽自動車でZという名前の車がありました。

当時も単にZといえば日産(ダットサン)のスポーツカーであるフェアレディーゼットのことでしたが、ホンダのZも軽自動車ゆえにその愛嬌ある車体にそこそこの人気はあったとのことです。

HONDAは平成の時代にもZという車名の軽自動車(3ドア)を出していますが、それは初代の丸みがあるボディーとは違い現代風に近いボックス型の軽自動車。

初代ホンダZは360ccの軽自動車

今回取り上げるホンダZは昔私が働き始めたころに初のマイカーとして購入したものでもあります。

ホンダZのフロントまわり

当時すでに14年落ち(正確には記録していない)だったZは中古車として破格で会社の先輩から譲ってもらえた車。

そのとき、すでに免許を取得していて車の車種については並の知識はあったつもりでも「HONDA Z」なんて車名を聞くのは初めてでた。

「水中めがね」と呼ばれた車

画像の模型は市販の物でZのコンセプトカラーと同じオレンジ色のボディーです。

水中めがね

車体後部の荷物を積むスペースの窓が黒いゴムのような材質で分厚く縁取られていて、その個性ある見た目からZには「水中めがね」というあだ名が付けられていたのは有名な話。

年輩の方に話すときホンダのZに乗っていたと言うより水中めがねに乗っていたと説明した方が分かってもらえたりします。

Zが担ったポジション

真横から見たスタイル

360ccのZは、当時としては斬新なスタイルで、その価格設定から若者にも人気がありCR-Xの様なコンセプトの車だったという話もされました。

とは言っても、CR-Xがすでに人々の記憶から消えつつあるので現代に例えるなら、やっぱりN-ONEが当てはまるような気がしますが、ZもCR-XもN-ONEよりは動力性能を売りにしていたのではと思います。

もちろん、N-ONEもエンジン性能は優れたものを持っていますが、装備やデザインなどを含めてマルチに評価ができる車。

それからZの兄弟車ともいえるN360との違いといえば、落ち着いた大人には庶民派のN360、活気のある若年層にはZといった感じでしょう。

乗り心地と使用感

ホンダZハードトップ

所有していたHONDA Z(HT)の写真

ホンダZの乗り心地については、N360や当時のコンパクトカー(小型の旧車)に乗った感想と同じものになるでしょう。

エンジンの始動時にはチョークを引いてセルモーターを回します。このとき操作するチョークレバーは先端にツマミの付いた棒を手前側に引くというもの。

当時、車の燃料噴射装置はFIへ移り変わりつつあった頃で、チョークの操作には詳しくありませんが360ccという排気量から想像できる通り中型バイクと同じようなエンジンで、停車時からの再始動を除いて乗り初めには必ずといっていいほど当たり前にチョークを引いていました。

また昭和の車は高速道路の制限速度を過ぎたあたりで、「キンコン、キンコン」という電子音がしました。

これがZでは時速80kmを超えたあたりで「ビー!」というけたたましいブザーが鳴り響いていました。おそらく速度の警告だと思うのですが、調子が悪かったのか鳴りはじめる速度が一定ではありませんでした。

エンジンに関しての別な警告音かとも考えますが、当時の車、しかも軽自動車でそこまでの機能は備えていなかったことでしょう。

また、カークーラーというものすら一般的でななかった時代の車ですから、エアコンを装備していなかったので真夏のドライブは汗だくで、今思い起こすと脱水症状を伴いかねない危険なものでした。

もっとも、地球温暖化などの話を聞くことがなかった時代の話ですから、今のように猛暑日が続く夏より過ごしやすかったのも事実です。

Zに乗っていたとき、車体は初年度登録から14~15年を過ぎた古い中古車でした。

観光地へドライブにでかけても、当然日常の街乗りでもN360やステップバンは見かけても同じZとすれ違ったことは一度もありませんでした。

初代Zの諸元

360ccのZ

乗っていたグレードが特定できないので以下の仕様は同じシリーズの共通する項目になります。

全長 2.995m
全巾 1.295m
全高 1.275m
乗車定員(人) 4
車両タイプ 2ドアクーペ
エンジン EA型
水冷直列2気筒
SOHC354cc
変速機 4速MT

残っている写真も少なく乗っていたZのグレードの特定は難しいですが、リアピーラーのエンブレムが丸い形でなく平行四辺形だったこと、水冷でツインキャブ、4速MTだったことなどから生産終了前の後期型であったのではと推測します。

初期モデルの丸いエンブレム

初期型モデルは後方のピラーに丸い形のエンブレム

また名車シリーズの模型と比べても赤に近いオレンジであることや、センターピラーレスのハードトップだったこと、かすかに覚えている登録年が昭和48年(または49年あたり:購入時14年落ちの中古)だったことなどからも初期の空冷ではないことが分かります。

360ccは白いナンバープレート

Zに乗っていたとき、新車で販売されていた軽自動車は550ccの排気量で今と同じ黄色ナンバー。

ZやN360、ステップバン、スバルのテントウムシなんかが盛んに走っていた時代に、軽自動車は白いナンバープレートを装着していました。

当時としては斬新なスタイル

白いナンバーと言っても普通車よりは一回り小さいサイズで同じ物ではありません。

当時、この白ナンバーを返却してしまうと再取得するとき黄色になる。『管轄の市町村で軽自動車用の白いナンバーに記される番号が枯渇(フルに使われてしまっていた)していたから?』といわれていました。

乗らずに保管するときは廃車にせず税金だけ払い続けナンバーだけは付けておいた方がよいとかアドバイスされたのを覚えています。

当時の自分はそんな360ccの希少性への関心は薄く、真夏のことを思えば早くエアコンがついている、当時で言うところの「パワステ・パワーウインドウがあるフル装備の車」に乗り換えたいと強く望んでいたものです。

Zを手放したあと時代は流れ、平成版のホンダZの名前だけに興味はあったものの触手が動くことはありませんでした。

さらに月日が経ちホンダが満を持して日本の軽自動車界に送りこんだN-ONEのフォルムにZの面影を感じ購入することにいたったということになります。

そんな成り行きから、N-ONEという車には昔乗ったZの面影があり乗るたびに免許取り立ての頃のワクワク感が蘇る思いがします。

おすすめ記事

N-ONEがある日常 ホンダN-ONE Premiumと過ごす日常【初期型N/Aタイプ車のレビュー】 N-ONEドラムブレーキ 車の整備はDIYでどこまでできる?