テスターを使って設備機器などの回路を辿りたいときに、片方のテスター棒がクリップ式で長いものがあれば便利だと感じる時があります。
測定したい電路の各端子が離れているとき、テスター棒を両手で持って本体を固定して置く場所がないときなどです。
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クリップ式が製品化されない理由
あったら便利なクリップ式のテスター用コードが存在しないのは、ほぼ需要がないからか若しくはクリップ式で固定してしまうと危険だからでしょう。
たとえば、分電盤内の回路を測定したいときに、中性線にあてるテスター棒を固定してしまい左手でテスター本体を持ち右手でテスター棒を持てば回路を調査するのには都合が良くなります。
しかし、何かの拍子に右手が導体に触れてしまうと左手に持ったテスターはN相に繋がったままで危険度の回避はテスターの絶縁性頼みということになるでしょう。
クリップ式のコードがテスターに付属しないのはそんな事情もあってかと推測します。
作成したクリップ付きリード線
諸般の事情からテスターにクリップ式のコードが付かないのは仕方がないとして、はやり作業性は良くない場面は多々あります。
両手にテスター棒を持ったら原則としてテスター本体はどこかに置くなりしなければなりません。
そんな事情から試しに作成してみたのが画像のコードです。
先端にワニ口クリップを取り付けています。
電気のお仕事をしている方からすれば、電線の抵抗値はどうなのかという話になりそうですが、用いる用途によっては利便性を優先したいところです。
例えば自動車内の配線の種類の判別や端子の電圧調査などでは充分使える範囲でしょう。
コードのテスターに差し込む側に使用したオス側の端子は一般にバナナプラグと呼ばれているようです。
ここで使っているサンワのアナログテスターにはELPAのPU-59NH(商品名:バナナチップ大)というものを差し込んで使えています。
クリップ付きロングコードの自作工程
ここで作成したテスター用コードは危険性の少ない導通テストなど限られた目的で使用するカスタムコードです。
作成するクリップ付きロングコードは、テスターの使用用途に高度な性能や安全性を要求される場合や、テスターの内部抵抗などにもこだわりがある方が使用される場合には参考になりませんのでご注意ください。
先端にクリップを取り付けたコードの作成は次の通りです。
用意した材料
コードの作成に使用した材料は次の通り。用意した電線は白の被覆でしたが、純正品に合わせて黒を使うのが望ましいでしょう。
- 撚り線(1.25mm)長さ3.5m
- バナナプラグ
- クリップ
- 丸圧着端子
バナナプラグの取り付け
用意した撚(より)線にバナナプラグを半田付けします。
最初に電線の両端の被覆を剥きます。
撚線にはあらかじめ黒のキャップを通します。
取り付けるプラグ側にある穴の径が小さめだったので、撚線の銅線を数本切断しています。
プラグの金属は半田の載りが良くないのでフラッグスを付けるなどの処理が必要でした。
電線側にも半田をしみ込ませてからプラグ側を加熱しながら差し込みました。
この状態に固定できるまで、結構苦戦したのでプラグとの接続にはもっと効率の良い方法があるのかもしれません。
クリップの取り付け
クリップを取り付ける側の電線の先端にもキャップを通してから作業を進めます。
こちらは丸圧着端子を圧着工具を使ってカシメます。
クリップにはねじ止めしたあとキャップをかぶせて出来上がりです。
これで、コードが届く範囲が広くなり離れた場所を対象に導通テストなどに使えるようになります。
テスター棒は箸みたいに持つのが一般的?
市販のテスターでもクリップ式のものが全くないわけではありませんが、通常市販されているのは棒状であるのが普通です。
熟練の職人がテスターを使いこなすのであれば逆にクリップ式でないほうが扱いやすいのかもしれません。
屋内配線など、図面上で区切られた部分の通電をかくにんするだけ二本のテスター棒を箸のように持って本体は左手というスタイルが定番とも言えます。
これが、図面を紛失してしまった古い設備機器や製品など、または図面があっても実際の回路を辿りたいときは片方がクリップ式だと嬉しいことがあるのですが、要はそんな場面に出くわす機会があるかとうのも問題なのでしょう。
記事中のSANWAのテスターに使用しているクリップは次のリンクのものと同等品です。
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