DIYでエアコンを接地する際に電源を200Vに変換したことで、接地について気になって調べていたら、耳慣れない情報を目にすることになりました。
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室内機、室外機両方で接地してはいけない
エアコンという機器は、室内機と室外機の両方で接地をしてはいけないというのが空調機器関連に携わる方たちの間では知られている事実のようです。
私は、「えぇッ?」と思たのと、何でかな?と少し考えてみました。
設備の安全のためにアースは必要だが数が多いとダメだよとはあまり聞いたことが無かったためです。
それより、このエアコンの室内機と室外機の両方で接地を施してはいけない話は実際にあるのですが、理由を明確に述べているサイトが探し出せません。
自分は検索のノウハウについて人より劣ることもないと自覚していますし、こうした技術系の情報が直ぐに探し出せないことは希ですので、モノがエアコンという限られた設備の情報なのが、この「両方での接地がいけない根拠」が探せないことに関わっていることでしょう。
考えてみれば、機械としては室内用と屋外へ設置用で2つに分かれているけどケーブルと銅管で繋がっているので電気的には一つの設備であり、他にこのような仕様の設備というのは種類が限られることでしょう。
もっとも有力とされる情報
Web上にある少ない情報のなかで最も信用できると思われるのが次のようなものです。
室内機と室外機の両方で接地をした場合、両接地極の間で電位差が生じることがあるから。
メーカーなどが片方で接地と言うのはこの辺の問題でしょうか。
しかし、電位差が生じたときにどうなるかの話については、あいまいだったり少し違うのではと疑問が残るものばかり。
室外機の接地極と、室内機のコンセント側の接地極では場所が離れることがあるでしょう。
電位差が生じた場合、アース線を通って常に微弱な電流が冷媒管を通り室内機機と室内機を行き来する流れになると想像できます。
それによるノイズの発生や冷媒管の接続部に腐食などをもたらすことが心配されるため接地は一か所でということなのかもしれません。
両方接地がいけないことの理由【仮説】
上に書いた理由により室内機・室外機両方での接地を否定するには、特に他人に対して「まずいですよ」的なアドバイスに至るには理由が乏しいように感じます。
本来は省略することができない接地(アース)ですが、それが2カ所以上あってはいけないというのは安全が確保できないからと推測します(ダメだというのですから)。
接地の数が多ければ、それだけ故障電流を地面に逃がしてくれるから感電の危険がないし逆に良いのでは?という考えは間違いであるという話になります。
そこで公然と否定する必要に至るための最も考えられる理由を仮説として想定してみることにしました。
仮説:接地が複数だと漏電遮断噐が動作しなくなるから
漏電遮断器が回路を保護する仕組みは、接地極を通じて地面に電気が流れる漏電が起きると回路に流れる電流に不均衡が起き、R相やT相から漏れた分は零相検出器で検出され遮断器が動作する仕組みである。
(※専門の方の説明だと語句や理屈は異なるかもしれませんが、甚だ大きく間違ってはいないと思われます。)
ところが接地が2カ所に分けて施工されてしまっていると、故障電流が接地極aに流れたとして、この場合漏電遮断器が故障時に想定している零相変流器を往復する電流の差異を生じさせることなく、もう一つの接地極bが地面(地気)と通じてしまう恐れがある。
つまり、漏電遮断器が感知できない場所で、大地に対して故障電流による並列回路を作り出してしまう。
漏電電流が回路内の複数の接地や漏電遮断器の動作に及ぼす影響は、故障個所や接地抵抗、電位差などに関連するが、2つの接地極の間で故障電流を無限に流す電路が生まれ、それに伴い漏電遮断器が動作しない状況が作り出される可能性は高い。
仮説による地絡時に想定される現象(図入)
分かりやすいように図を描いてみました(先の通説の拡張版)。
※図を作成していても、やはり腑に落ちないモヤモヤがありましたが、この理由しか思い浮かびません。
電気機器にこうした状況が発生した場合、機器の故障にとどまらず火災の危険もあるため、同じ電気機器に対して異なる接地極を使っての接地は行ってはならない。
以上が、考えられるエアコンで2カ所の接地をすることが良くない理由(仮説)です。
やはり腑に落ちないことの実証
多分こうなんじゃないか的な想定で図まで作成をしたところでしたが、仮説のような事態は商用電源が持つ電圧の効果からみて、漏電遮断器が動作しなくなるようなことは稀であるかと思われます。
それより、2か所で接地をすることによってエアコン本体に悪影響がでることになっても、その状態は室内機側だけで接地をした場合でも同じ効果が発生してしまうことが日常的に起こり得ます。
室外機は基本的に屋外へ置くことになるので、雨天時や降雪の際、特に大雨で室外機全体が雨水をかぶってしまった状況下では、室外機のケースに接地を施したとほぼ同じ効果があるでしょう。
一見、水濡れとアースでは性質が異なると思われるかもしれませんが、大雨が降れば室外機のケーシングと地面は雨水で接続されていると考えるべきです。
つまり、コンセント側で接地を行っていれば室内機、室外機双方で接地した状態が屋外環境によって作り出されることになります。
このように、片側だけの接地が望ましいという縛りは室外機側で受ける自然環境により簡単に影響をうけてしまう制約であります。このことから安全性の確保というより、このことにより片側だけでの接地はメーカー側が機器の性能維持を目的にしている話であるのではという結論になるでしょう。
不足している保安に関する情報
このエアコンで2カ所の接地をしてはいけないという情報は、とある知恵袋系サイトなどでもお見かけしますが、ここで立てた仮説のような説明はなく「メーカーの取説に書いてある」との表現だったりします。
また少し話はそれますが、それらに似たアドバイス系のページで「接地をとる」という表現をしていたページをお見かけしました。
「接地をとる」という言い方は、接地を接続するときと、繋がっている接地線を撤去する場合の両方の意味をもつため使わないようにしましょうと、大手の保安団体が盛んに呼びかけています。
こちらは、少し調べれば簡単に出てくることかと思います。
調べる情報の重要度によっては、1箇所に頼らず複数にわたって確かめる必要があるようです。
なお、当記事に限りコメントを受付たいと考えます。
今回取り上げた接地に関して、実はそうじゃないよ、ここ間違っているよと気づかれた方は気兼ねなくコメント頂ければと思います。
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