前回の投稿では、USB昇降圧DC-DCコンバータの基本仕様と使用例について取り上げ、出力が極めて限られるのは分かったものの実際にどの程度まで使えるのか確認しておきたいところです。
また、この機器は販売サイトなどの説明からは過電流保護などの保護機能が備わっていないように見えます。そこで今回は、電子負荷を用いて推奨される出力上限で動作させ安定度をチェックしてみます。
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電子負荷を用いた出力テスト
この昇降圧コンバータはスペック上は2~3Wクラスの出力が可能とされています。ここでは電子負荷を用いて、その域で実際に安定動作するかの確認と、それを超えた場合の挙動を見ることにします。

電子負荷ZPB30Aを繋いだHW-132Bのテスト環境
定格値3Wでの動作
まずは、3.3V、5V、9V、12Vの4種類の電圧を任意に指定し、電力上限で問題なく運用できるかをテストします。
前回取り上げた基本仕様によれば、この電圧域は出力電圧2V~20Vの定格出力が適用されは3Wまで(仕様上の表現は3W以内)が利用可能範囲の出力値と考えられます。
この3W以内を前提にして、それぞれの電圧ごとに電子負荷で設定する電流値は次の通りになります。
なお、設定できる最大電圧の24Vでは、ここで使う電子負荷ZPB30Aで扱える加減電流値0.2Aを下回ってしまいテストができないため、ここでのテスト電圧は12Vを上限にします。
| 出力電圧 | 設定電流 |
|---|---|
| 3.3V | 0.90A |
| 5V | 0.60A |
| 9V | 0.33A |
| 12V | 0.25A |
テスト方法は、先に昇降圧コンバータで電圧設定を行い。そのあとで電子負荷でテスト電流を設定してから電子負荷をONにします。
テスト時の画像は次の通りです。

3.3V-0.9A

5V-0.6A

9V-0.33A

12V-0.25A
上段に見えるデジタル表示は、それぞれの電圧でテストしたときに電子負荷に表示された電圧です。静止画なので分かりづらいですが、電圧が大きくブレるような様子は確認できていません。
定格とされる3W付近では、どれも電圧、電流ともに安定して動作している様子が確認できました。
それでも、やはり気になるのは、この定格を超過したときに保護機能があるのか、どういった動作をするのかです。
3Wを超える負荷で使用したときの挙動
次に、最大出力を超えてしまった場合はどうなるのかをテストします。
ここでは、それぞれの設定電圧から50%まで低下したらアラームが鳴るよう電子負荷を設定しておきます。
基板の構成やUSB電源の一般的な仕様を踏まえた場合、入力側で想定される電流の上限は1.5~2Aあたりかと思われますが、その辺もUSBチェッカーの表示を目視で確認しながら作業を進めていく要領です。
テストは、先ほどの3Wで試した上限の電流値からスタートし、徐々に負荷電流を上げていくことにします。
テスト開始時の電流は、最初のテストで設定した電圧ごとの電流値にします。

3.3V設定で2.2Aまで電流を上げた状態

5V設定で1.7A流した状態

9Vで0.95A流した状態

12Vで0.68Aまで流した状態、このあと0.69Aでアラームが連続鳴動
各電圧ごとのテスト結果は、3Wを超える負荷を与えると、電圧は維持できず徐々に低下する傾向が見られました。
また、明確に動作を停止するような保護はなく、出力電圧がドロップしていく挙動が確認できます。
この結果から、この昇降圧コンバータは過負荷に対して守られる設計ではなく、使用者側が負荷を意識して扱う前提の性質の機器であることが見えてきます。

24V設定で電子負荷を接続、基板の一部で温度が55℃まで上昇
参考までに、24V 設定で、電子負荷を繋いでみたところ、基板の一部に温度上昇がみられました。
インダクタや可変抵抗を中心に赤外線を当てていますが、画像の55℃表示が出たのはType-Cコネクタ付近でした。
これより、低い電圧でも出力を上げた場合には同様の温度上昇がみられるのではと思います。
USBの5Vを自由に操れることの価値
今回の電子負荷を用いたテストでは、保護回路が存在しないこと(存在しないように見える)、定格を超えた場合に電圧が下がってしまうことが確認できました。
では、なぜこの低出力な昇降圧コンバータが人気なのでしょうか。それはUSBの5Vを自由に操れるという点にあります。
昨今は3.3Vで動作するマイコンやセンサーが増え、必要とされる電力そのものが小さくなっています。そのため、このクラスの出力でも成立する場面が多く、USB電源ひとつで必要な電圧をその場で作れるという点が大きな魅力になっています。

USBを電源に使えるので簡単な回路のテストにも最適
USBから直接3.3Vを用意できることで、レギュレータや電池を別途用意しなくても、素子やモジュール単位の構成部品が手元に届いたら、すぐその場で動作確認ができる手軽さがあります。
この「すぐ試せる」というメリットが、このコンバータの本質的な価値と評価して良いでしょう。
意外にライトユーザー向けなツール
こうした特徴から、この昇降圧コンバータは本格的な電源装置というより、軽い検証や仮電源として使う場面に適しています。
高価な安定化電源をわざわざ用意するほどではない作業や、ライトな電子工作のスタイルにおいて、USB電源ひとつで完結できる手軽さは大きな利点となります。
これは、電子工作の敷居を下げてくれる効果もあり、興味を持ったジャンルの作業にも比較的手を出しやすくしてくれるものだと評価できます。
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