冷媒管用のトルクレンチが動作しない、カチッとならないときの簡易テスト法

トルクレンチの動作テスト

ルームエアコンを設置する際には専用のトルクレンチ使い規定トルクで冷媒管を接続する必要があります。

このフレアナット用のトルクレンチは物によっては締め付け時にカチッと鳴らず正常に動作してないのではと不安に感じることがあるようです。

こんなとき簡易的に自分でテストする方法はないか試してみることにしました。

高ナットとスパナでトルクをかけてみる

まずは本当に動作しないのか安定してトルクをかけられる環境を作ることにします。

22mmと17mmの高ナット

用意した2面幅22mmと17mmの高ナット

最初に用意したのは高ナットとメガネレンチ。画像の高ナットは左の22mmがM14、右の17mmはM10の規格のものです。

それぞれ簡易テストをするトルクレンチのサイズに適合する物を用意します。

トルクレンチ1/4サイズ

1/4インチサイズのトルクレンチでは、17mmサイズのメガネレンチと対辺の幅が同じく17mmサイズの高ナットを使います。

トルクレンチの動作をチェック

この高ナットをスパナとトルクレンチ両方に合わせて互いに指定方向へ力を入れトルクをかけます。

上の画像よりも角度を狭くした方が力を入れやすいかもしれません。

正常であればカチッという感触が手に伝わりトルクレンチが動作してくれるでしょう。

トルクレンチ3/8サイズ

22㎜の高ナットとメガネレンチ

3/8インチサイズ(3分管用)のトルクレンチでは、22mmサイズのメガネレンチと2面幅が22mmの高ナットを使います。

この2面幅22mmの高ナットというのは探すのが難しいサイズだったりします。

22mmトルクレンチの動作チェック

22mmの高ナットにスパナとトルクレンチ両方をセットして指定方向へ力を加えトルクをかけます。

このときナットからレンチがずれたり外れると危険ですので注意が必要です

正常であればカチッという感触が手に伝わりトルクレンチが動作してくれますが、3/8サイズのトルクレンチはメーカーによって42Nmという高めのトルク設定です。

実際に、この高ナットへトルクをかける方法を両腕で試してみるとレンチが動作するトルク値42Nmをかけるには結構な腕力が必要であることが分かります。

それでもエアコンの設置作業をする人は室外機を自分で持ち上げたりする力はあるでしょうから規定トルクをかけられないとは考えにくいでしょう。

ただし、室外機を設置する場所が狭い場所であったり、フレアナットを高所で締めなければならない環境では力が入りづらくトルクレンチが作動しないことも考えられます。

おおよそのトルク値を確かめるには

トルクレンチがカチッと言わないようだ。とかではなく実際にトルクがかかりすぎて配管や機器を壊してしまいそうな場合には、工具メーカーのサポートに問い合わせてみるしかありません。

そうするまでもなく、自分で暫定的におおよその値を調べる方法としてはプリセット式のトルクレンチを使ってみる方法があります。

プリセット式のトルクレンチ

もちろん正確な動作トルクの測定はできませんが自分で納得できる程度の目安みたいなものはつかめそうです。

測定方法は上に書いた簡易テストで使用したスパナをプリセット式のトルクレンチへ置き換えエアコン用トルクレンチを動作させる形で行います。

トルク値を設定

目的のトルク値を設定

理屈としては、エアコン用トルクレンチとプリセット型トルクレンチで同じ高ナットにトルクをかければ設定トルクが低い方が動作することになります。

このとき、メーカーが許容範囲としている誤差についても考慮する必要があるので本当に大雑把な数値しかつかめなことは覚悟しなければなりません。

トルクレンチに22mmサイズのソケット

トルクレンチにソケットを介して高ナットをセット

テストの手順は、プリセット式のトルクレンチの値をエアコン用の規格より1目盛り分小さく設定して、両方を高ナットにセットしトルクを加えます。

動作トルク値のテスト22mm

このとき想定通りプリセット式の方がカチッと動作するなら、トルクの設定値を少しずつあげていき、エアコン用トルクレンチが動作したときの設定値がエアコン用トルクレンチが持つ「おおよその動作トルク」であると推測されます。

逆にエアコン用のトルクレンチが動作してしまうときは、プリセット式の設定値を少しずつ下げていきプリセット式のほうが動作したときの値が「動作トルクに近い値」と推測できます。

この方法は双方にかかるトルクの方向が正確であり、プリセット式トルクレンチの性能が信頼できる場合に限られ、推測された測定値にも誤差が反映されるのと値そのものも保証されるものではありません。

そうは言っても、特に3/8サイズのトルクレンチをテストで動作させる22mmの2面幅があるボルトやナットは専門ではない一般の生活環境や業種では見つけることは難しいでしょう。

今回の方法は、手元に高ナットやプリセット式のトルクレンチが用意できる場合に自己責任で行う非公式な簡易テストです。

トルクレンチの使用時に、これ以上締めたら部品や機器本体が破損しそうだと感じたらとりあえずトルクレンチのメーカーや製造元に連絡してみるのが一番安全で有効な手段でしょう。

意外に希少な2面幅22mmのボルトやナット

今回、トルクレンチのチェックに使用したのは17mmと22mmの高ナットでした。

しかし、レンチ2本を両手に持ってトルクレンチを動作させるのは力が要るし態勢も不安定です。

もっと身近なもので力を加えても安定してそうな22mmのボルトやナットはないか探してみても家庭などでは簡単には見つからないようです。

そこで調べてみると、ヤマハのオートバイで既に生産が終了している車種SR400ではリアアクスルナット(後輪の軸にあたる部分)に対面幅22mmのナットが使われているようです。

ナットが位置する車両の右側にはマフラーがあるので、トルクレンチを当てることが出来るかどうか実車で試してみないことには分かりませんが、バイクなら安定しているので片手で40Nm以上の力をかけることができるのではと思います。

SR400は今でも人気車種なので探せば身近な人が乗っているなんてことも期待できそうですし、持ち主に頼んで試すことができればトルクレンチが動作するかどうか分かると思います。

他にはSR400に似たホンダのバイクCB400SSではフロントのアクスルナットが22mmサイズ。この車種は同じ前輪側のアクスルシャフトの頭が2面幅17mmの六角なので17mmと22mm両方を動作させることができます。

バイクに使われている22mmサイズのナット

CB400SSで使われている22mmナット

なおCB400SSは人気モデルだったCB400SFとは違うのでSR400より見つけにくいかと思います。

他には、バイクだと250ccあたりの車種で22mmサイズのナットが使われているようですが、情報が少なく車種の特定などが難しところです。

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