油圧式フロアジャッキの受け皿部分を自作して交換

ジャッキの受けを自作でカスタム

軽自動車を整備するために車両下にあるジャッキアップポイントを確認したところ手持ちのフロアジャッキでは受け(皿)部分の形が適合せず使えないことが判明。

フロアジャッキの受け部分

N-ONEのジャッキアップポイントに合わない形状

N-ONEの車体下にあるジャッキアップポイントの位置と形状

そのままではフロントの両輪を上げることができず、買い直すのも大変なのでこの受けの部分は手元にあるものを加工して代用することにしました。

当ページに記載している方法のみでは作業のあたっての安全確保が充分ではなく他の方にお勧めするものではありません

アルミ製の皿状の部材を加工

交換用の「受け」は、ガレージジャッキ用皿として市販されているものが形的に良さそうでしたが、手元のジャッキでは取り付け部分の穴の経が小さく入らないようなので使うことができません。

ノーマルの受け皿と交換する資材

左が標準の受け、右がエンドキャップ

いろいろ考えたあげく、昔バイクのマフラーに使っていたスーパートラップのエンドキャップと呼ばれるアルミ製で皿状の部材が丁度良さそうに見えます。

このエンドキャップのN-ONEの車体下ジャッキアップポイントに当ててみると形状がピッタリです。

しかし、アルミ製かつ目的外での使用になるので加工はしやすい反面強度的にはかなり不安が残ります。

このエンドキャップとやらですが、今時では公道走行に使えない物ではあるので車重で割れることを覚悟の上で加工してみることにしました。

準備する工具

加工といっても、この皿状の部材の中央付近に穴をあけてボルト用の雌ネジを切る作業だけです。

これらに必要な工具を手持ちの中から探してみるとたまたまM8のボルト・ナットの組合せと6mm(本来は6.8mmが必要)のドリルがあるので、これにM8のタップを買い足して作業にかかることにします。

6mmのドリルとM8のタップ

今回使うM8(×1.25)のタップを立てるために必要な下穴は6.8mmになりますが、慣れていない人がサイズ6.8mmのドリルを使って穴を開けるとネジ穴が緩めに仕上がってしまうことがあるので、今回は6mmで開けて穴をヤスリで広げることにしました。

穴あけとネジ切り

エンドキャップの中心付近にセンターポンチで印をつけて、最初に細いドリルを立て小さな穴を開けてから6mmのドリルで穴を開けていきます。

穴あけ加工済みのカスタム資材

さすがアルミだけあってストレスなく穴は簡単に開けることが出来ました。

タップを使ってネジ切り

あとはタップを立てて雌ネジを切ります。

エンドキャップとボルト

固定用に使うボルトとねじ切りが済んだエンドキャップ

下穴が小さいので慎重に小刻みに戻しながらタップを回していきます。こちらも思ったより簡単にネジを切ることが出来ています。

なお、参考までに雌ネジを切るのが初めての方は予めタップを折ってしまった失敗例を調べておいたほうが良いかと思います。

今回は、貫通したネジ穴の加工なのでほぼ心配ないと思いますが力加減が分からずタップを折ってしまうと始末がとても面倒なことは覚えておいたほうが良いでしょう。

フロアジャッキに自作の皿をセット

エンドキャップの加工が済んだら、そのままジャッキに取り付けることにします。

標準の固定方法

標準的な固定方法は受けの足部分を差し込んでクリップで抜け止めしています。これらを取り除いて用意したボルトにナットとワッシャーを取り付けます。

ボルトを下から挿入

ボルトを油圧ジャッキの先端の裏側から差し込みます。

作成した受けを固定

上部に出た雄ネジの先に自作の受け皿(エンドキャップ)をねじ込めば完成。

ボルトは表面に突き出さない

ボルトの先は表面に突き出ない程度にしています。

完成したカスタムジャッキ

なおジャッキは荷重が均等にかかるわけではないのでボルトはある程度緩みを持たせておきました。

軽自動車をジャッキアップしてみる

受け部分の交換が済んだところで軽自動車(N-ONE)をジャッキアップしてみます。

もともと高さ的にジャッキが入らない場所にポイントがあるので、この車種ではタイヤスロープなどが必須です。

助手席側からジャッキを入れてレバーをポンピングしていくと狙い通りにすんなり前輪が上がってくれました。

車体をジャッキアップしたところ

このあとサイドにリジットラックを入れて作業をすることになりますが、ジャッキによる車両の上昇や降下などそれぞれのポイントで代用の皿が割れるリスクがあることを心配しなければなりません。

同じ形状のもので鉄製の部材を入手出来て、固定ボルトも出来るだけ太めのものを利用できれば安定度は増すかもしれませんが、同等の市販品がないことを考えるとそもそもサイズの小さな油圧ジャッキは大きな「受け」を使うことを想定していないので用途的にも無理があるという話なのではと考えます。

今回、代用品を試すためにこのジャッキの「受け」部分をいろいろ探してみましたが、正確な名称が今一つ分かりませんでした。

皿という呼び名で通用しそうではありますが、メーカーによっては「受け皿」だったり海外サイトでは「トレイ」や「トレー」に訳されていたり、サドルという呼び方で扱っている販売サイトも見かけました。

いずれにしても、製品の数や取扱数は少なくレアな商品でこの部分を交換するのであれば、汎用性の高いローダウン対応のガレージジャッキにへの買い替えが無難と言えそうです。

最後に繰り返しますが、今回検証してみたスーパートラップのエンドキャップはサイズ的にはピッタリではありますが、材質や取り付け方法に難ありなため安全が確保できずお勧めの手段ではありません。

おすすめ記事

HONDAエヌワンのジャッキアップポイント N-ONEの車体下にあるジャッキアップポイントの位置と形状 軽自動車のジャッキアップ タイヤ交換で使うサイドにあるジャッキアップポイントの高さ【N-ONE:JG1】