現場作業に使われる工具には目覚ましい進化を遂げたものが多く存在します。
あらゆる場面で活躍できる充電式のドリルをはじめとして、ハンマーや鋸までも握りやすく、より効率的に扱えるように改良され、デザインもカラフルなものが増えました。
電気工事用の工具としては、昔からのオーソドックな形をした電工ナイフというものが今でも新品で入手可能ですが、これに取って代わるケーブル用のストリッパーが面倒な外装むきを効率化できる目から鱗的な工具に該当すると言えるでしょう。
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目盛りを刻んだ電工ナイフ
その昔、電気工事士の資格が第一種、第二種という名称に振り分けられてまもなくの頃、電気工事士の試験には電工ナイフが使われるのが当たり前でした。
試験を受験する人たちも、この電工ナイフしか使うものがなかったから不思議に感じることなく使える工具と材料に向き合い真剣に技能を磨いていたものです。
私も、そんな人たちの間に紛れ電験三種の受験ついでに第二種電気工事士の試験を受けたていました。
当時、技能試験へ向けての練習中に気になったのが練習問題を完成させるのに時間がかかりすぎていたこと。
この作業時間の短縮という課題と向き合った中で思いついたのが、電工ナイフに目盛りを刻めば、作業中にいちいちスケールとナイフを持ち替える行程を省略でき作業時間の短縮につながるということでした。
スケールとナイフを持ち替えにかかる時間は僅かですが、出題仕様に合わせた成果品を完成させるには要所要所でケーブルや電線の長さを測る必要があります。
その測定の頻度に対応するための電工ナイフへ目盛りを刻んだことは、施策としてはだいぶ的を得ていたことでしょう。
進化を遂げた今時のケーブル関連工具
あれから30年というのは、きみまろさんが使っているネタですが工具も変われば変わるものです。
その後、電工ナイフの進化系として登場した電工用ストリッパーでは、3芯VVFケーブルの外装を一気に剥ける画期的な機能の他に握り手の部分に目盛りが刻まれています。
昔、自分で電工ナイフに目盛りを刻んだ者としては苦笑いがこみ上げてきます。
当時、工具を作っているメーカーでは目盛りを刻むという発想は思い浮かんだにしても、当時現場についていた電気工事士には不評だったかもしれません。
今販売されている目盛り付きの電工ストリッパーも試験対策用に目盛りを入れているとしか思えません。
そんな目盛り意外にも便利になった電工用のストリッパーが、機能的に進化を遂げたのはここ最近のことではないでしょう。そして、資格を取っただけでその後実務についていないペーパーな電気工事士の方の中にはその存在を知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
休日にちょっとした作業で電気工事をするときなど、こうした今どきの工具の使い勝手を試してみるのも面白いでしょう。
もうナイフの刃先をあり得ない方向(ケーブルを握った自分の手)にむける必要はありません。
趣味のDIYでも工具選びは重要
やりたくなかった作業でも使う道具によっては、そうでもないかと簡単に感じることがあります。
工具の選び方次第で苦手だった作業が効率よく片づくことも珍しくなく、これは実務に限らず趣味のDIYでも同じことが言えるでしょう。
今思えば、電工ナイフほど職人気質を漂わせた無骨なフォルムを持つ工具も珍しいものです(だからこそ使いこなせたときの達成感もある)。
面倒だから、苦手だからと言って遠ざけていたことも、工具選びという角度を変えた視点から入ってみることで開ける新しい世界があるかもしれません。
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