自宅の部屋に自分でエアコンを設置したいと考えたとき電気工事士の資格が必要になるのではというのが気になります。
家電店などでエアコンを購入した場合に、取付工事を行う業者は電気工事士の資格を有していることが求められます。
DIYでの作業で、コンセントの付け替えや屋内配線が伴わない取付けだけの作業なら資格は必要ないように思えますが実際はどうなのでしょう。
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エアコン設置には取り扱いや施工の知識が必要
実際に電気工事士の資格を所有(第一種、第二種両方取得済み)している私がDIYで自宅にエアコンを設置してみて感じたのは、資格そのものよりケーブルの取り扱いや加工など施工に関する知識が必要ではないかということです。
なお、家庭用エアコンの設置・修理の工事を事業として行うには電気工事業者の登録等の手続きが必要です。このことは経済産業省のWebページにも明確に記載されていて、登録には電気工事士の資格の他に実務経験などが必要になってくるようです。
つまり事業としてエアコンを設置するには第二種電気工事士などの資格だけでは不十分で事業者として登録が用件になり簡単ではないことが分かります。
このように、事業としては様々な手続きをクリアしなければならないのが、DIYだと資格なしでも簡単に出来るだろうと考えるのは早計なことかもしれません。
有資格者並みの知識と技術を要する部分
エアコン設置工事で電気工事士の資格が必要になる部分は、コンセントの移設や電圧の変更に係る部分と接地極を新たに埋設する作業などです。
このほかにも、関係法令により定められた作業を行う場合は資格が必要ですが、そうした状況判断をするためにも最低でも第二種電気工事士の資格は持っていたほうが良いでしょう。
また通常のルームエアコンは施工の際に室内機と室外機をケーブル(内外接続線などと呼ばれる)で接続しますが、このケーブルには多くの空調メーカーが屋内配線用のVVFケーブルを指定しています。
実は、このVVFケーブルの末端処理などの加工や機器への接続に電気工事士がもつ知識と技術が有効です。
ケーブルの外装の剥ぎ方や内部の電線を含めた扱い方と処理には電設資材を扱うための技術が必要で、これらのテクニックを個別に習得するより第二種電気工事士の資格を取得してしまったほうが効率が良く安全なのは明確でしょう。
このケーブル処理をいい加減にすませてしまうと、機器の不調や緩みによる接点の加熱等のトラブルを誘発する原因になるので危険です。
DIYにおける第二種電気工事士の資格
第二種電気工事士の資格は、能力を評価する検定資格とは異なり車の運転免許などと同じく試験合格後に取得した免状を有していなければ電気工事を行うことができない種類のものです。
住宅内の電気設備(一般用電気工作物)に係わる工事を行うには国家資格である第二種電気工事士の資格が必要で、その具体的な内容については法令で定められています。
また、第二種電気工事士の資格が取得できればエアコンの配線以外にも住宅の屋内配線に関する知識を同時に身につけられるので、興味がある方には意味のある資格ではないでしょうか。
取得に際して、筆記試験と実技試験の両方をクリアしなければならない電気工事士の資格試験はハードルが高いように思われがちですが、DIY関連で住宅本体や付帯設備に係る建築士の資格や、水道やガスの配管に係る資格の類は事業者ごとに基準が統一されていなかったり、または関係業務に従事してていなければ資格の取得が現実的ではなく時間もかかります。
試験の難易度が低くても簡単に受験できなければ取得そのものが容易とは言えないでしょう。
そう考えると、住宅の建物本体や設備関連の資格で最も取得しやすいのが、受験資格の制限がほぼない誰でも受験できる第二種電気工事士だとも言えます。
それでも資格なしでエアコンを取付けたいとき
電気工事士の資格を持っていれば家庭用のルームエアコンの設置はDIYでも行うことができます。
ただし、エアコン取付け工程の中でケーブルの切断や処理・繋ぎ込みに係る部分はほんの一部。そのために資格取得のために時間を割くのは現実的ではないとおっしゃる方も少なくないでしょう
目的がルームエアコンの設置なら、VVFケーブルの切断や処理、機器への接続に係わる作業だけ電気工事士の有資格者へ頼むというのも一つの方法です。
知り合いに協力してもらって資格を持っている人を探すのは大変かもしれませんが、自分で資格試験の申し込みと受験対策をして合格後に申請という手順を辿るより、明らかに手間いらずだという人は周りに相談してみる価値はあるでしょう。
もっとも、エアコン工事で専門的な知識が必要なのはケーブルの接続に係る作業だけでなく、冷媒管の接続や真空引きなど冷凍機の仕組みや取り扱いに関する知識も要求されるので電気工事の知識やテクニックだけ捕捉できれば済むわけでないのを忘れてはいけません。
取り付けたエアコンを安心して使い続けたいなら
最初に書いたとおり、エアコンの設置には電気工事士の有資格者と同等の知識と技術が必要です。
このような、テクニックの一部を完全にマスターするより資格そのものを取得してしまった方が考え方によっては効率的で得られる収穫も大きいものではないでしょうか。
また、エアコンの室内機と室外機を接続するケーブルはコンセント以降の工事と解釈して資格は不要などと言う方もおられます。
しかし、エアコンの設置では外壁に配管と共にケーブルが固定され、気温によっては負荷電流が継続して流れ続けます。エアコンの設置は住宅環境における電気設備の保安に十分係わってくるとも解釈できます。
安易に資格が不要であると助言する方がいるなら、他人事としてアドバイスされていると疑ったほうが良いかもしれません。
DIYで設置したエアコンを使い続けるのは自分の住まいです。長く安心して使い続けたいなら、施工に関しての情報に少しでも不安が残るなら専門の業者に頼んで施工するなり、DIYでの設置に挑戦するなら資格の取得に合わせ関連知識の習得に励むことをお勧めいたします。
工具メーカーであるホーザンが運営している動画サイトが電気工事士試験について詳しく解説されていて参考になります。
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