PDトリガーでUSB-CからDC12Vを実現!対応できるPD充電器と注意点とは?

USB-C PD充電器対応のPDトリガー

PDトリガーと呼ばれる機器をご存じでしょうか?

商品名としては「PDトリガー」「PDデコイ」などのほか、指定の電圧だけに特化した「PDトリガーケーブル」などが存在します。

このうち、このページで取り扱うのは、PDトリガーと呼ばれる小さな基板です。対応するPD充電器を使えば、DC5・9・12・15・20Vを引き出せる優れものです。

PDトリガーの大きさ

ここで取り上げるPDトリガーは指先ほどのサイズで軽いものです。MRA193Aという型番があるようですが販売元で異なるようです。裏面にはUSB接続したときに点灯するLEDが配置されています。

本体の高さ

横から見ると端子台部分が高くなっている

PDトリガーとPD充電器、PD対応ケーブル

PDトリガー、対応充電器、Type-CのPDケーブル

この小さな基板をPD充電器、PD対応ケーブルと組み合わせることで5種類の電圧を指定し使うことができます。

※本ページの内容は一般的な情報提供です。電源まわりの作業は機器の仕様確認と安全対策を前提に、無理のない範囲で自己責任により行ってください。

PDトリガーの役割とは「こんなとき便利」

屋内でカー用品をテストするなど特定の直流電圧を用意したい場面は意外と多いものです。

たとえば、動作確認、点灯チェック、設定メニューの確認など、車まで行かずに家の中に居ながら12Vを使った作業を済ませたいことがあります。

ところが、その入口でつまずくのが「DC12Vをどう用意するか」です。

車両から電源を引っ張るのは手間ですし、鉛バッテリーを室内に持ち込むのは心理的にも扱い的にもハードルがあります。そんなときに便利なのがUSBタイプCのPD充電器を電源母体として使えるPDトリガーです。

家の中でDC12Vが使える

PDトリガーの魅力は、対応するPD充電器と組み合わせることで、家庭のコンセント環境のままDC12Vを用意しやすい点にあります。

カー用品の多くはDC12Vを前提としているため、PDトリガーがあれば屋内テストの段取りが大幅に捗ることになるでしょう。

ただし、テスターで無負荷の12Vが出ていても、実際にカー用品をつないだ瞬間に電圧が落ちる、保護が働いて止まる、あるいはケーブルやコネクタが発熱する、といったことが起こり得ます。

出力できる電力は使うPD充電器やケーブルに依存するので、目的の電圧が「出る」と「安定して使える」は別だということを理解しておかなければなりません。

この埋め込み動画では、PDトリガーに12V-23Wの電球を繋いで点灯させてみました。コンセント側のスイッチ音と充電器のLED、PDトリガーの裏にあるLEDの点灯タイミングなどが分かります。

動画は撮影条件の都合で明るさが大きく変動します(急に暗くなる場面あり)。気になる場合は再生画面の明るさを下げてご覧ください

意外に役立つのは9V?

カー用品の12V以外にも、PD充電器とPDトリガーの組み合わせで、様々な電圧を使うことができます。

例えば、PD充電器側が5V/9V/12V/15V/20Vの出力に対応していれば、ここでご紹介するPDトリガーを使うことで5種類の電圧をすべて扱うことが可能になります。

PDトリガーでLCR-T4を動作させる

PDトリガーを使って9V機器を動作させている様子

なかでも9Vは、最近どこのショップでも扱い数が少なく値段も高くなっている四角い乾電池(9V電池)の代わりに、電池側の端子形状に合わせて接続を工夫できれば、動作チェック用の代替電源として使える場合があります。

9Vの電圧は欲しいけど、買いに行くのが面倒。または、動作チェックだけなので9V電池を買うまででもないといったときに9Vを選んで取り出せるPDトリガーは便利です。

電圧指定に必要なPD対応充電器

USBタイプC→PDトリガー→出力側の構成図

PDトリガーは魔法の変換器ではなく、あくまでPD充電器が持つ出力メニュー(プロファイル)から、指定電圧を要求して固定する仕組みです。

したがって、最初に確認すべきは「そのPD充電器が、目的の電圧(特に12V)を本当に持っているか」です。

充電器のパッケージや取説などを見ると、5V/9V/12V/15V/20Vのうち、どれが出せるかが記載されています。

ここに12Vが書かれていない場合、PDトリガー側で12Vを選んでも、期待どおりにならないことがあります。商品名は似ていても仕様は製品ごとに違います。

次に重要なのが電流の余裕です。接続する機器によっては起動時に電流が跳ねるものがあり、ギリギリの充電器だと保護機能が動作し安定して使えません。とくに百均のPD充電器などは20Wなど価格相応に容量が制限されていることがあります。

電源用に安定させたいなら、「動くかどうか」は大事ですが「余裕があるかどうか」も必ず確認しておきましょう。

なお、PD規格にはPPSなどの拡張要素もありますが、ここで扱っている機器では非対応なため簡単に設定が可能な特定の電圧設定についてだけ取り上げて解説しています。

ディップスイッチによる電圧の設定

赤の部分が電圧設定スイッチ

3つのスイッチで電圧を指定

ここでご紹介するPDトリガー基板は、ディップスイッチで電圧を選ぶ方式です。

ディップスイッチの設定パターン

設定パターンは各製品ごとに異なりますが、この赤の3連スイッチを使った製品の場合は次の組み合わせで電圧の指定が可能になります。

この電圧設定の方法については、ページ下のリンクにある動画解説が参考になります。

無負荷状態の電圧チェック

テスターで電圧を測定し20Vが確認できた

なお、基板にUSBタイプCから電源を供給したままでの切り替えはトラブルの原因になるので、電圧の設定は基板からタイプCケーブルを抜いた状態で行うのが確実です。

設定後は、いきなり機器をつながず、まずテスターで無負荷の電圧を確認します。次に、実際に使う条件に近い負荷をつないで、電圧が落ちないか、充電器の保護が働いていないか、発熱が強くないかを確認します。

PDトリガーを使う際の注意点

PDトリガー基板の扱いには、組み合わせるケーブルの太さ、コネクタの接触、変換アダプタ選定、といった注意点があります。

これらを適当にすませてしまうと電圧降下や発熱、瞬断の原因になります。

なかでも発熱はトラブル発見のために重要なサインですので短時間でも触って明確に熱いと感じるなら危険です。すぐに電源から切り離しましょう。

PD対応ケーブルと普通のType-Cケーブル

左がPD対応で少し太め、右は非対応

ケーブルやコネクタは扱う電流に対して余裕をもった選択をするよう心掛けるのが大切です。

3.3AでPD充電器の保護回路が動作

充電器の過電流保護が働いた状態、保護機能は充電器に依存する

もう一つは「保護が働く=壊れた」ではない点です。電圧が落ちる、止まる、再接続で復帰する、といった挙動は、充電器側の保護機能が働いたことが原因とも考えられます。

PDトリガーで3A約60Wのテスト

20V設定でテストし3A(約60W)流した状態

PDトリガーを使って使用できる電力の上限はPD充電器の仕様に依存します。

動作させたい目的の機器が要求する電力がPD充電器の定格電力を超える場合には、そもそもPDトリガーを使った電力の確保という手段が適さないものと判断されるので、電圧の他にも使用機器が要求する電力についても予め調べておくことが重要になります。

PDトリガーなら屋内環境で直流電圧の選択肢が増える

PDトリガーは、屋内でカー用品など特定の電圧を確保したい人にとって非常に便利な道具です。

ただし「PDトリガーを買えばすべて解決」ということではなく、対応するPD充電器が目的電圧を持っていること、必要電流に余裕があること、そして通電経路が破綻していないこと、この3点を確実に押さえておかなければなりません。

  • 充電器の表記で、狙う電圧と出せる電流を先に調べておく
  • ディップスイッチは説明書どおりに合わせる
  • いきなり機器はつながず、無負荷で電圧が狙いどおりかチェックする
  • 実負荷で異常な電圧降下や使用機器とケーブルなどに発熱がないか確認する

順番としては、(1)充電器の表記で目的電圧と電流を確認し、(2)ディップスイッチで電圧を設定、(3)無負荷で電圧確認、(4)実負荷で挙動と発熱を確認という流れになります。

PD充電器は、接続するデバイスからの要求により指定した電圧を供給する役目を果たすものです。

出力側に機器を接続するためのDCプラグ

PDトリガーにDCプラグを繋いだところ

一方、PDトリガーは、それら対応デバイスが持っている電圧種別の要求機能を代行する基板であり、この機能を生かして任意の機器に指定の電圧を供給する役目を持つものです。

なお製品の性質上、取り扱いは自己責任になりますが、扱う機器それぞれの性質や注意点を抑えることで便利に使えるツールになることでしょう。

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