ホンダの軽自動車N-ONE(JG1)でファンベルトの交換を実施しました。
整備時の走行距離は約80000km、来月には初年度登録から10年になるN-ONEのエンジンはベルトに緩みや異音はなく良好ですが、今回も必要に迫られる前にメンテナンスを済ませておきたいと考え自前で作業をしています。
事前に作業の難易度が気になりましたが、実際にもエンジン横(下)からの工具を差し込む場面が多く、ほぼ玄人向けなのと工具の種類もそれなりに揃っていないと難しいと感じる内容でした。
スポンサーリンク
N-ONE(JG1)のファン(補機)ベルト
N-ONEでファンベルトにあたる部分は、クランク軸のプーリーからオルタネーターのプーリーへかかっているベルトと、同じくクランク軸からエアコンのコンプレッサーとウォーターポンプのプーリーにかけられているベルトの合計2本のベルトのことでオーナーズマニュアルでは補機ベルトと書かれています。
図で示している赤いベルトがオルタネーター用の補機ベルト、青がエアコンディショナー用の補機ベルトでエアコン側ではウォーターポンプのプーリーも動かしています。
ベルトの種類 | 型番 |
---|---|
オルタネーター | 4PK700 |
エアコン | 4PK890 |
それぞれ型番が異なるので新しいベルトは1本ずつ注文することになります。
※販売サイトによってはNシリーズ共通の品番でセット売りしているものを購入可能。
今回は、2本とも三ツ星製のベルトを使うことにしました。
ベルトの交換作業
ボンネットを開けてエンジンルームを上から覗いても確認できるのはベルト2本の一部分だけ。
そして緩めなければならないボルトのうち、この上側からアクセスできそうなのはオルタネーター側の14mm1本だけの様子。
作業の大部分は右前輪のタイヤを外してから、タイヤハウス内のカバー(スプラッシュガード)を開けてそこから行うことになります。
※ジャッキアップだけでは作業の安全を確保できないのでリジットラックを設置するなどで車体を安定させる必要があります。
同じNシリーズの別な車種ではナンバープレートを外したりするようですが、N-ONEではナンバーを外してからプラスもう1工程あるためタイヤハウスからのほうが作業が捗りそうです。
N-ONEのフロント側バンパーとタイヤハウスにあるメンテナンススペース
古いベルトの取り外し
最初に唯一上からアクセス可能なオルタネータープーリーの14mmのボルトを緩めます。
ここが、S07Aエンジンのベルト交換で1番の難所かもしれません。
上からの方がレンチを入れやすいのですが、ボルトを緩めようとすると柄の部分がブレーキフルードのリザーバータンクに当たりそうにになります。
普通のラチェットレンチでは、この部分への干渉が避けられそうになく今回はギア数が多く柄の長いラチェットを急遽買い足しています。
フレックスラチェットハンドルRHF469【差込角3/8、ギア数72T】の使用レビュー
続いてタイヤハウスの開口部から同じくプーリーのテンション調整のためにある12mmのボルトを緩めてオルタネーター側のベルトを緩めます。
これでオルタネーターのプーリーを手前に引けばベルトが緩み外せるようになります。
次にもう片方のヘッドライト側にあるコンプレッサー用プーリーの下側にある14mmと、上側12mmのボルトを緩めベルトを外します。
上の12mmは35mmのエクステンションバーを使いましたが、必要な長さは組み合わせるレンチにもよると思われます。
新しいベルトと外した古いベルトを並べてみました。
右のやや茶色く見える側、3本の溝が細いほうが新しいベルトです。使い込むうちに溝が広がってくるものと思われます。
取り外した方も特に割れなどは見られません。
取付とたわみの調整
新しいベルトの取付けはコンプレッサー側のベルトから行います。
最初に、ウォーターポンプのプーリーにベルトをかけてからクランク軸、コンプレッサー(またはその逆でウォーターポンプ→エアコン→クランク)の順でかけた方が取り付けやすいかと思います。
ボルト固定時にテンションをかけるには、プライバーなどが使われるようですが持ってないのでタイヤレバーにビニールテープを巻いて代用しました。
傷つけないよう慎重に力を加え12mmのボルトを先に締め付けて固定します。
オルタネーター側も上側のプーリーにかけてからクランクプーリーの順が付けやすいでしょう。
オルタネーター用のベルトは、エンジンの真下に入らないとテンションをかける場所が確認できません。画像の右半分に見えるタイヤレバーでテンションをかけています。
張り具合のチェックが済んだら4本のボルトをトルクレンチで締め付けます。
オルタネータ14mm | 45N・m |
---|---|
オルタネータ12mm | 24N・m |
エアコン14mm | 45N・m |
エアコン12mm | 22N・m |
(※ボルトの14mm、12mmは六角の対面幅)
作業に使用したトルクレンチは東日のQL50N-MHです。
ホンダのNシリーズのベルトにはオートテンショナーが付いていないため、今回は初回の張り調整をしたあとにもたわみの調整をすることにしました。
一般的な機械だと、新品のベルトは初期伸びみたいなのが起こりますが、クルマだと整備はその日のうちに仕上がってあとは心配なく乗れるのが普通なのが不思議なところ。
※後日調べたところベルト交換時は新品を装着したときの数値にテンションを調整するようです。
今回はしばらくアイドリングした後に低速で近場を少し走ってくることにしました。
タイヤハウス内のカバーは外したままタイヤを取り付け数キロほど走行。
戻ってきてからタイヤを外してたわみをチェックしてみます。
今回の調整ではややキツメに張っておくことにしました。ちなみに張りすぎるとオルタネーターやコンプレッサーの軸などに負担がかかり故障の原因になりますので注意が必要です。
とは言うものの、交換前に予め確認したベルトの張り具合もとても規定値内とは思えない程度にキツキツでした。
それを考えると、補機類の軸が壊れるほど強いテンションで張るのは逆に難しいのではと疑問が残ります。
このように、オートテンショナーを装備しない車両のDIY作業でしたので交換にリスクは伴いますが、その分、この先短いスパンでのベルト周りのチェックを怠らないよう気をつけることにします。
※作業後の張り具合の調整について別記事にまとめています。
クルマの補機ベルト交換時期について
メンテの対象がベルトでしたので、その後車を動かしたところで体感的に変化が感じられる部分ではありません。
交換したベルトは消耗品なので、いつかは交換が必要になる部分であり時期的にはもう少し早めに済ませておきたかったところではあります。
ただし、前回車検時にディーラーのサービス担当に聞いたところでは補機ベルトの寿命は10万キロ程度とのことです。
走行距離が10万kmまで持つのであれば、特にファンベルトの寿命を気にしなくてもその前に車を買い替えるケースも少なくなさそうですし、数万キロでファンベルトを交換したという話も最近ではあまり聞かないような気がします。
それはそれで、ありがたいことですがこの先も同じ車に長く乗り続けるにあたってはベルト以外の交換部品が多数あるのは覚悟しなければならず、やはり早めに対応できる部分は先にすませておくという意味では、今回のファンベルトの交換も有効なことでしょう。
おすすめ記事
補機ベルト交換後に張り具合を調整 初期型N-ONE(JG1:S07A)のCVTフルード交換 フレックスラチェットハンドルRHF469【差込角3/8、ギア数72T】の使用レビュー