ブレーキのエア抜きをするのにエアーとともにフルードを受ける容器内を真空にしてやるとエア抜きが楽にできるそうです。
しかもマスターシリンダーに入ったエアーまで抜くことが可能だと聞き、手元にある真空ポンプを利用してエア抜きができる簡易的な専用工具(機材)を自作してみることにしました。
なお、真空ポンプを用いた方法で完全にブレーキのエア抜きが可能かどうかは今のところ情報が少なく確信できるものではありません。
※今回作成した機材を使ってのエア抜きは真空ポンプへのブレーキフルード混入が完全に避けられないリスクを伴うものです。
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自作のために揃えた資材
車の整備でブレーキフルードの入れ替え作業を行うときには、ワンウェイバルブとチューブ、ペットボトルの組み合わせを用意して行っていました。
今回は、真空ポンプで負圧を発生させるのでペットボトルより丈夫な容器を使うことにしました。
真空ポンプの接続には、チャージホースと異径ユニオンのセットなどで工夫する必要がありますが、手持ちの真空ポンプでは1/4サイズのフレアナットが取り付け可能だったので省略できています。
- 内径6mmと4mmの透明チューブ1本ずつ
- フルード受けに使う容器
- エアコン用の冷媒管(二分管)とフレアナット1個
- エアコン用真空ポンプ
※この他に冷媒管の加工のためにフレアツールを使っています。
内径4mmのチューブは通常のエア抜きに使われる物をそのまま使い、6mmのほうは買い足しました。
フルードを入れるための容器は100円ショップのもの用意。
冷媒管は以前にルームエアコンを取り付けた際に余っていたもので、ペアコイルの細い方の銅管を使います。
真空ポンプもエアコン設置のとき以外は、ほとんど出番がなくなっているものを利用することにします。
エア抜き工具の組立て
用意したフルード受け用の容器の蓋に、6mmと4mmのチューブ用に適当な穴を開けチューブを入れます。
容器側の加工が済んだら、冷媒管(2分)の片方の先をエアコン用と同じ形にフレア加工しナットをセットます。
フレア加工のサイズは使用する真空ポンプの仕様によりますが今回は1/4サイズで加工しています。
フレア工具がない場合はチャージホースに異種管接続のアダプタなどを取り付けて容器の蓋へ差し込むチューブへ接続。その際は冷媒管は不要でチューブのサイズも扱いやすいものを選定し直します。
冷媒管に通したフレアナットを真空ポンプの接続口に取り付ければ完成です。
この状態で真空ポンプのスイッチを入れると容器内が負圧になりエア抜きチューブの先からフルードを吸い出してくれる仕組みです。
真空ポンプを使ったブレーキラインのエア抜き
エア抜き工具の準備ができたところで検証に移りたいところですが、テストのために4輪車のブレーキにエアーを噛ませるのはリスクが高いため、先にブレーキホースを交換したバイクのブレーキでエア抜きを試すことにしました。
テストに使用するバイクはブレーキホースを新品に交換しているのでマスターシリンダー内にもエアーが入り込んでいてレバーのタッチはスカスカの状態です。
作業の結果は容器内にエアーが混入したフルードが勢いよく回収されるのは良いのですがキャリパーから吸い出されるフルードの量に対してスカスカになったブレーキのタッチは戻っていません。
バイクの場合ブレーキラインが垂直に近い部分が多く空気が下に下がりづらいのか、それともキャリパー内で抜けきらない部分があってのことか抜いたフルードの量に対して効率が悪すぎです。
このままブレーキフルードを補充しながらの作業は、フルードがもったいないので通常通りレバーを「握っては抜き」の数回繰り返しへ移行したらあっさりエアーが抜けたようでレバーのタッチが元に戻りました。
その後、テスト走行しても問題なくブレーキが効いているのが確認できています。
バイクを使った今回の検証では、容器内へのフルードの回収はスムーズできるのは分かりましたが、同時に効率良くエアーまで抜けるかどうかは確証に至っていません。
もっともバイクの場合はキャリパー側からシリンジ(注射器)を使って押し込むことが可能なのでそれが一番簡単な方法かと思います。
4輪車でのエア抜きに今回の真空ポンプを使った方法を用いた場合、同じようにフルードは抜けてくるけどエアーはなかなか抜けないということも考えられます。
4輪車でテストするのであれば、確実にエアーが抜けるようワンウェイバルブを用意し新しいフルードが無駄にならないよう回収(ゴミ、埃対策が必要)するくらいのつもりで時間をかけて臨んだ方が良いでしょう。
そうなると、下手な自作工具を試すより最初から二人体制を想定し誰かブレーキ踏むのを手伝ってくれる人を連れてきた方が結局は手間も時間もかからず効率良くエア抜きができることになりそうです。
リアブレーキで古いフルードを抜くのに何回もペダルを踏むのが面倒だという場合には、一時的に真空ポンプを使ってやると楽に抜くことはできそうですが、キャリパーのOHなどで混入したエアーをしっかり抜くためには従来通りの手段が間違いないことでしょう。