USB PD電源で車のバッテリーを充電してみる【PD Trigger&DD30CRTA】

USB電源を使って車のバッテリーを充電

65W対応USB-PD(パワーデリバリー)充電器とPDトリガー、そして鉛バッテリー用充電モジュールDD30CRTAを組み合わせ、軽自動車用M-42Rバッテリーの充電を試してみました。

このページで解説している充電テストは、USB電源と充電専用モジュールを組み合わせて使用した際の検証の一例であって、同様の方法を実用的な手段として広く一般に推奨するものではありませんのでご注意ください。

充電テストに使用する機材

充電テストに使用する機材

今回使用した主な機材は、65W対応USB PD充電器、Type-C USBケーブル、PDトリガー、DD30CRTA、USBチェッカー、3A平形ヒューズです。充電対象には軽自動車用のM-42Rバッテリーを使用しました。

軽自動車用バッテリーM-42R

バッテリー側には5Aのヒューズを装着

PD充電器はノートパソコンの充電にも使用できる一般的な製品で比較的小型で入手しやすいものです。

PDトリガーはPD充電器から所定の電圧(今回は20V)を引き出すために使用。

ここで使用しているPDトリガーは使い方などを別ページで解説しています。詳しい内容を次のリンク先で参照できます。

PDトリガーでUSB-CからDC12Vを実現!対応できるPD充電器と注意点とは?

DD30CRTAは鉛バッテリー向けの充電制御を担当します。

充電モジュールDD30CRTA

DD30CRTAの入力電圧はDC15~28V。

DD30CRTAの裏面

DD30CRTAの裏には簡単な仕様が書かれている

また、PD側の電流変化を確認するためのUSBチェッカーを組み込んでいます。

PDトリガーとDD30CRTAで充電回路を組む

組み上げた充電回路

まずPD充電器へUSBケーブルを接続し、その先にPDトリガーを接続します。PDトリガーから取り出した電源をDD30CRTAへ入力しDD30CRTAの出力をバッテリーへ接続。

また、回路を保護する対策としてPDトリガーとDD30CRTAの間のプラス側配線には用意した3A平形ヒューズを挿入しています。

完成した回路は一般的なバッテリー充電器と比較すると非常にコンパクトです。PD充電器自体がUSB機器向けに小型化されているためテスト作業用の卓上でも扱いやすい構成になっています。

充電開始と経過観察

充電前のバッテリー電圧は12.3V

充電前の電圧は12.3V

接続の準備が整った状態でバッテリーの電圧を測定。その後PD充電器へ電源を投入し充電を開始します。

USBチェッカーの表示

充電中のUSBチェッカーの表示

充電開始直後にはUSBチェッカーでPD側電流を確認するとともに、バッテリーの端子電圧も測定し、電流と電圧の変化を記録していきます。

充電中の温度測定

充電中は回路に発熱がないか温度測定を実施

また、PD充電器や基板に無理な負荷が掛かっていないか、DD30CRTAが正常に動作しているかについても併せて確認しながら進めます。

10時間充電による電流値の変化

充電開始後は1時間ごと(前半の5時間は30分毎)にPD側の電流を測定し、その推移を記録しています。

経過時間USB電圧(V)USB電流(A)充電電圧(V)充電電流(A)
0:0020.071.56813.451.068
0:3020.040.30413.450.464
1:0020.050.26413.460.465
1:3020.040.24213.450.439
2:0020.040.22113.460.414
2:3020.040.20613.470.398
3:0020.040.19013.470.335
3:3020.040.17613.470.371
4:0020.040.16713.470.321
4:3020.040.16013.470.365
5:0020.040.14313.480.314
6:0020.040.12713.480.339
7:0020.040.11213.480.312
8:0020.040.10413.490.292
9:0020.040.09913.490.237
10:0020.040.08813.490.191

開始直後は比較的大きな電流が流れますが充電が進行するにつれて変化が見られます。

※充電電流はDC対応クランプメータによる測定なので測定ごとの誤差が大きくなっていると思われます。

また、バッテリー端子電圧も同時に記録し充電状態の変化を確認しました。電流値と電圧を合わせて見ることでDD30CRTAによる充電制御の様子をイメージとして把握できます。

充電中の電流の変化が分かるグラフ

充電電流の変化を表したグラフ

テストでは10時間連続で充電をしています。USB機器向けとして販売されているPD充電器が、長時間にわたって安定して電力を供給できているのがわかります。

充電開始から10時間の状態

10時間経過後のバッテリー端子電圧

10時間経過後ではバッテリーの端子電圧は13.5V近くにまで上昇。

USBチェッカーに表示された数値

10時間経過後のUSBチェッカーの表示

USBチェッカーに表示されるUSB-PD側の電圧は安定していて電流値は下がっているのが分かります

このあと、バッテリーから充電回路を切り離し電圧が安定するまで待ちます。

充電後12時間後に電圧を測定

充電完了から12時間経過後の電圧

充電完了後12時間経過後の電圧は約12.8V

バッテリーを回路から切り離し約12時間放置したあとの電圧は12.8V。

電圧だけで見れば良好に充電できたと判断できるレベルかと思います。

PD充電器とDD30CRTAを使った鉛バッテリー充電テストの成果

今回の検証では、PD充電器とPDトリガー、そしてDD30CRTAを組み合わせることで、軽自動車用鉛バッテリーへの充電を行うことができました。

使用したPD充電器、PDトリガーとDD30CRTA

USB PDという身近で扱いやすい電源を活用できる点は興味深い結果です。また、DD30CRTAによって鉛バッテリー向けの充電制御が行われるため、単純な直結よりも実用性のある構成と言えそうです。

ただし、今回は軽自動車用の容量の小さめなバッテリーを対象に行った実験であり、あらゆる条件での動作を保証するものではありません。バッテリーの状態やPD充電器の性能によって結果は変わる可能性があります。

それでも、市販のPD充電器を利用して鉛バッテリーを充電するという目的については、一つの検証例を得ることができました。USB PDの活用方法としてもなかなか面白いものになったと思います。

動画による解説

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